はじめに
マーケティングを成功させるためには、消費者の購買行動を深く理解することが不可欠です。
そこで重要となるのが、行動心理学の知見です。
本記事では、購買行動のプロセスと各段階の心理、購買を促す心理的トリガー、行動心理学を活用した販促事例などを解説します。
マーケターが知っておくべき行動心理学の基礎を身につけ、マーケティング戦略に活かしていきましょう。
購買行動のプロセスと各段階の心理
まず、そもそも購買行動とは何でしょう。
具体的には下記のようになります。
購買行動とは、消費者が商品・サービスを購入する際に取る行動を指します。
東芝テック株式会社
消費者の購買行動は、一般的に以下の7つの段階に分けられます。
- 認知:商品やサービスの存在を知る
- 興味:商品やサービスに興味を持つ
- 行動:情報収集や店舗訪問などの行動を起こす
- 比較:他の選択肢と比較検討する
- 購買:商品やサービスを購入する
- 利用:購入した商品やサービスを使用する
- 愛情:商品やサービスに愛着を持つ
各段階で消費者の心理は変化していきます。
認知段階では、広告などを通じて商品の存在を知り、興味を持ちます。
行動段階では、より詳しい情報を求めて能動的に行動します。
比較段階では、他の選択肢と比べて商品の優位性を確認します。
購買段階では、商品を手に入れることへの期待感が高まります。
利用段階では、商品の使用感や満足度が重要になります。
愛情段階では、商品への愛着や信頼感が形成されます。
これを考慮し、マーケターは、各段階で消費者の心理を的確に捉え、適切なアプローチを行う必要があります。
認知段階では、広告などで商品の魅力を訴求し、興味を喚起します。
行動段階では、詳しい商品情報を提供し、店舗やオンラインストアへの来訪を促します。
比較段階では、商品の優位性をアピールし、購買意欲を高めます。
購買段階では、スムーズな購買体験を提供し、満足感を与えます。
利用段階では、商品の使い方をサポートし、満足度を高めます。
愛情段階では、ブランドとの絆を深める施策を行います。
色が持つ印象についてもまとめてありますので、こちらの記事を参考にして下さい。個人差はあると思いますが、伝える印象のイメージは「色」によっても変わってきます。
購買を促す心理的トリガー
消費者の購買行動を促進するには、心理的トリガーを活用することが有効です。
心理的トリガーとは、消費者の感情や欲求に訴求し、購買行動のきっかけとなる仕掛けのことです。
代表的な心理的トリガーには、以下のようなものがあります。
希少性
「限定〇個」「期間限定」など、商品の希少性を訴求することで、購買意欲を高めることができます。
これを逃すともう手に入れられないかもしれないという不安感が、購買行動を後押しします。
権威性
専門家や有名人が商品を推奨していると、消費者は安心感を抱き、購買意欲が高まります。
権威ある人物の言葉は、商品の信頼性を高める効果があります。
お買い得感
「〇〇%オフ」「〇〇円引き」など、お得感を訴求することで、購買意欲を喚起できます。
これを買わないことで損をしたくないという心理が、購買行動を促進します。
ストーリー性
商品にまつわるストーリーを伝えることで、消費者の共感を得ることができます。
感動的なエピソードは、商品への愛着を深める効果があります。
返報性
「おまけ付き」「ポイント〇〇倍」など、先に何かを与えることで、お返しをしたいという気持ちを喚起できます。
返報性の原理を利用することで、購買行動を促進できます。
イベント性
イベントやお祭りなどでは、気分が高揚して購買意欲が高まりやすいです。
身近なところでは、「GWセール」「新春初売り」などもイベント性のあるキャンペーンです。
これらの心理的トリガーを適切に組み合わせることで、消費者の購買行動を効果的に促進することができるのです。
行動心理学を活用した販促事例
ここでは、行動心理学の知見を活用し、購買行動を促進している企業の事例を見てみましょう。
事例1:スターバックス
スターバックスは、店舗での購買体験を重視しています。
店内のインテリアや BGM、コーヒーの香りなどを通じて、居心地の良い空間を演出しています。
また、スタッフの丁寧な接客により、顧客満足度を高めています。
これらの取り組みにより、スターバックスは顧客との絆を深め、リピート購買を促進しています。
事例2:アップル
アップルは、シンプルでスタイリッシュなデザインで知られています。
直感的に使えるユーザーインターフェースにより、製品への愛着を深めています。
また、Apple Store では、製品を自由に触れる体験を提供しています。
実際に製品を手に取ることで、購買意欲を高める効果があります。
事例3:ナイキ
ナイキは、スポーツを通じて人々を鼓舞するストーリー性のあるプロモーションを展開しています。
トップアスリートを起用したコマーシャルや、感動的なブランドムービーなどを通じて、ブランドへの共感を得ています。
また、NIKE BY YOU(旧:NIKEiD)では、自分だけのオリジナルシューズをデザインできるサービスを提供しています。
自分だけのものを手に入れられる喜びが、購買意欲を高めています。
これらの事例から、行動心理学の知見を活用することで、消費者の購買行動を効果的に促進できることがわかります。
マーケターが知っておくべき行動心理学の基礎
マーケターが理解しておくべき行動心理学の基礎として、以下の3つのポイントが挙げられます。
1. 人は感情で意思決定する
人は、理性的に判断しているつもりでも、実は感情に大きく影響されています。
商品の機能的な特徴よりも、そこから得られる感情的な価値を重視する傾向があります。
マーケターは、商品がもたらす感情的ベネフィットを訴求することが重要です。
「いかに優れた商品か」より、「これを手に入れることであなたの未来はこう変わる」=ベネフィットにより人は心を動かされます。
2. 人は損失を避けようとする
人は、得られる利益よりも、失うかもしれない損失を避けようとする傾向があります。
リスクを感じさせない安心感のあるコミュニケーションが求められます。
また、返品保証やお試し期間の設定など、リスクを軽減する施策も有効です。
3. 人は他者の行動に影響される
人は、他者の行動を参考にして意思決定する傾向があります。
ソーシャルプルーフ(社会的証明)の活用が有効です。
多くの人が支持している、専門家が推奨しているなどのメッセージを発信することで、信頼性を高めることができます。
これらの行動心理学の基礎を理解し、マーケティング施策に活かすことで、消費者の購買行動を効果的に促進することができるでしょう。
おわりに
本記事では、購買行動のプロセスと各段階の心理、購買を促す心理的トリガー、行動心理学を活用した販促事例、マーケターが知っておくべき行動心理学の基礎について解説しました。
行動心理学の知見を活用することで、消費者の心理を的確に捉え、購買行動を促進することができます。
マーケターの皆さんは、行動心理学の基礎を身につけ、マーケティング戦略に活かしていきましょう。
消費者の心を動かすマーケティングを実践することで、ビジネスの成功につなげていきましょう。